事業戦略

「その数字、どこから出てきたんですか」— 市場調査に出典と基準日を付ける方法

STAR-T
2026-08-11
5分読む
#事業計画書#市場調査#実践ガイド#一人起業

AIが出してくれた市場規模の数字には、基準時点と出典が抜けていることがよくあります。数字ごとに値・単位・時点・出典の四つの欄を埋め、埋められなければ削るか、自分で数えた数字に置き換える方法をまとめました。

「その数字、どこから出てきたんですか」— 市場調査に出典と基準日を付ける方法

事業計画書に市場規模を書きました。AIに聞いたら数字が出てきて、もっともらしく見えたので、そのまま入れました。

発表の場で、質問がひとつ飛んできます。

「その数字、どこから出てきたものですか?」

ここで詰まると、その後の説明はなかなか耳に入りません。数字がひとつ間違っていたからではなく、ほかの数字も同じやり方で作られたのだろうと受け取られるからです。

AIは数字を作るのが得意です。でも出典は付きません

「国内の市場規模を教えて」と頼めば、答えは返ってきます。単位ももっともらしく、文章もなめらかです。

ところが、たいてい二つが抜けています。いつ時点の数字なのかと、誰が出した数字なのかです。出典らしき機関名が付いていても、その機関が本当にその数字を出したのかは、確認するまでわかりません。

これは道具の使い方を間違えたわけではありません。文章を作ることと出典を示すことは、別の作業です。出典を付けるのは、今も人がやるべき仕事として残っています。

数字ひとつに四つの欄が必要です

数字を書くときは、その横に四つの情報がそろっている必要があります。

  1. — いくらなのか
  2. 単位 — ウォンなのか、人なのか、件なのか、パーセントなのか
  3. 時点 — いつ時点なのか(年まで、できれば調査時期まで)
  4. 出典 — 誰が出した数字なのか(機関名+報告書名)

こう変わります。

  • これでは不十分です — 国内市場規模は約1兆ウォン規模です
  • こう書く必要があります — 国内○○市場規模 1兆2,000億ウォン(2025年時点、△△協会『2025 ○○産業実態調査』)
    ※上記の機関名・報告書名・数値は、書き方の形式を示すための架空の例です。

長く見えますが、この一行があれば、先ほどの質問は出てきません。出てきても、答えられることがあります。

一つの欄が埋まらないとき

多くの人がここで止まります。探しても出典が見つからない、見つかっても数年前の数字だった、というケースです。

選択肢は三つです。

1. 削る。 いちばん手軽な選択です。空欄は、間違った数字よりましです。出典のない数字は「あってもなくても同じ」ではなくマイナスです。一つが揺らぐと、残りも一緒に疑われるからです。

2. 範囲に置き換える。 正確な値を示せないなら、確認できる範囲とその根拠だけを書きます。「正確には確認できていないが、公開されている○○を基準にすると少なくとも○○以上」のように。

3. 自分で作った数字に置き換える。 実はこちらのほうが強い場合が多いです。他人の市場規模より、自分で数えた数字のほうが説得力を持つことがよくあります。インタビューした20人のうち何人がすでにお金を払っていたか、ウェイティングリストに何人が登録したか、といったものです。サンプルが小さくてもかまいません。小さい代わりに、出典が確かですから。

「機関名だけ」は出典ではありません

よく見かける形があります。

  • こう書いても根拠にはなりません — △△協会によると、市場は急速に成長しています

機関名はあるのに、どの報告書の何年のデータなのかがありません。これでは確かめようがなく、確かめられないものは根拠ではありません。

数字を三つに分けて見ると、整理しやすくなります。

  • 自分で作った数字 — インタビュー・申込・決済の記録。サンプルは小さいものの、出典は確かです。
  • 原典を確認した数字 — 報告書を開いて、そのページを見たもの。
  • どこかで見た数字 — 記事・ブログ・AIの回答から写したもの。原典を開けていないなら、まだ使えない数字です。

三つ目を二つ目のように使うところから、事故が起きます。

私たちはこうしています

私たちもコンテンツを作る中で同じ問題にぶつかったので、一つの方法を決めています。

使ってよい数字のリストを別に作っておき、そこにない数字は記事に入れません。 リストには、値・単位・時点・出典の四つの欄がすべて埋まったものだけを載せます。そして公開する記事ごとに、末尾に使わなかった数値を書いておきます。この記事の末尾にもあります。

手間はかかります。ただ、半年後に「この数字、どこから出てきたんだっけ」と探し直さなくて済む程度の価値はあります。

AIに頼むとき

数字の聞き方を変えるだけでも、結果は変わります。

「○○の市場規模を教えてほしい。ただし、値・単位・基準年・出典(機関名と報告書名)をそれぞれ分けて書いて。出典を特定できない項目は数字を書かず、『確認不可』と書いて。

こう頼むと、空欄が見えるようになります。空欄が出ること自体が悪いのではなく、空欄に気づかないまま先に進むことが問題だったのです。

もう一つだけ守っていただくとよいことがあります。AIが示した出典は、必ず原典を開いてから使うこと。 報告書名までもっともらしく出てくる場合がありますが、開いてみるとそんな報告書が存在しなかったり、数字が違っていたりします。開いて確認したものだけを使えば、このリスクは大きく減ります。

今日一つだけやるなら

いま事業計画書や提案書に入っている数字の中から一つだけ選んで、その横に四つの欄を書いてみてください。

____ / 単位 ____ / 時点 ____ / 出典 ____

一つでも埋まらない欄があれば、その数字こそ発表の場で質問が飛んでくる箇所です。いま削るか置き換えるほうが、その場で答えを探すより簡単です。


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注記

① 参考資料・確認日
この記事は外部の統計・研究を引用していません。根拠は、起業準備者向け個別コンサルティングの累計500件以上(経歴SSOT基準)と、私たちがコンテンツを公開する際に用いている自社の検収方法です。本文に出てくる「1兆2,000億ウォン」「2025年」「インタビュー20人」といった数字や、「△△協会『2025 ○○産業実態調査』」といった機関名・報告書名は、すべて書き方の形式を示すための架空の例であり、実際の調査結果でも、実在する機関・報告書でもありません。 確認日 2026-08-06。

② 使わなかった数値
「AIが作った統計の何%が不正確だ」といった数値は使っていません。原出典と測定方法を確認できなかったためです。私たちの講義・コンサルティングの満足度や実績の数値、社内アンケート・CS回答の数値や直接引用も、この記事では使用していません。

③ 作成方法
AIで草稿を作り、人が検証・編集しました。公開前に事実・トーン・法務の3つの検収を経ています。

Engagement

閲覧数とリアクションは内部コンテンツ運用指標として保存されます。

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要点

  • 発表や審査で出典を示せないと、その数字一つだけでなく、資料全体の信頼が一緒に揺らぎます。
  • 数字には値・単位・時点・出典の四つがそろっている必要があり、出典は機関名だけでなく報告書名と基準年まで必要です。
  • 四つの欄のうち一つでも埋められなければ、削るか、確認できる範囲に置き換えるか、自分で数えた数字に差し替えるほうが安全です。
  • サンプルが小さくても、インタビュー・申込・決済の記録のように自分で作った数字は出典が確かなので、かえって説得力が大きいことが多いです。
  • AIに数字を聞くときは、値・単位・基準年・出典を分けて書かせ、出典を特定できなければ「確認不可」と表記させます。ただし、AIが示した出典は原典を自分で開いて確認してから使う必要があります。

よくある質問

事業計画書に使う市場規模の数字の出典が見つかりません。どうすればよいですか?

削るか、自分で数えた数字に置き換えるほうが安全です。出典のない数字は、質問一つで資料全体の信頼を下げてしまいます。インタビューした人のうち何人がすでにお金を払っていたかのように、サンプルが小さくても出典が確かな数字のほうが説得力があります。

AIが教えてくれた統計をそのまま使ってもよいですか?

原典を自分で開いて確認してから使うほうがよいです。機関名や報告書名までもっともらしく示されることがありますが、確認してみると該当する報告書が存在しなかったり、数字が違っていたりすることがあります。値・単位・基準年・出典を分けて書かせ、特定できない項目は「確認不可」と表記させると、空欄が見えるようになります。

出典はどこまで書けば十分ですか?

読む人がその数字を自分で確認できれば十分です。機関名だけでは足りず、報告書名と基準年がそろっていてはじめて確認できます。確認できない情報は、根拠として機能しません。

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STAR-T代表コンサルタント

ITサービス企画・デザイン専門家として、様々なスタートアップと企業の成功事例を研究・共有しています。

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